老後資金はいくら必要?年金と家計調査で自分の目安を出す方法
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この記事でわかること
- 老後資金の目安は「毎月の不足額×12か月×老後の年数+特別な支出」で見積もる
- 年金額はねんきん定期便や公的年金シミュレーターで、支出は今の家計と家計調査で確かめる
- 「老後2,000万円」は平均から出した単純計算で、人によって必要額は大きく違う
老後資金の目安は、「毎月の支出-公的年金などの収入」に老後の年数をかけ、特別な支出を足して見積もります。年金の額はねんきん定期便で、支出は今の家計と総務省の家計調査で確かめます。平均の数字は、そのまま自分に当てはまるとは限りません。
老後資金の目安はどう計算する?
老後資金の目安は、毎月の不足額と老後の年数から計算します。手順は次の3つです。
- 毎月の不足額を出す:老後の毎月の支出から、公的年金などの毎月の収入を引きます。
- 不足額の合計を出す:毎月の不足額に12か月と老後の年数をかけます。
- 特別な支出を足す:介護、住まいの修繕、車の買い替えなど、毎月ではない大きな出費を足します。
計算例(仮の数字で、平均値ではありません)を示します。毎月の不足が3万円で、老後が25年続くとします。3万円×12か月×25年で900万円です。住まいの修繕に200万円を見込むと、目安は1,100万円になります。
この金額から、退職金や今ある貯蓄を引いた残りが、これから準備する額です。目標の立て方はお金の目標の立て方で説明しています。
年金の見込額を確かめ(左)、老後の支出を見積もり(中央)、年数と特別な支出を足して(右)目安を出します。
公的年金はいくら受け取れる?
自分の年金の見込額は、ねんきん定期便で確かめられます。ねんきん定期便は、日本年金機構が毎年、誕生月に送る通知です(2026年10月時点)。年齢によって、載っている金額が違います。
- 50歳未満:これまでの加入実績に応じた年金額
- 50歳以上:老齢年金の種類と見込額
- 35歳・45歳・59歳:封書で、これまでの加入記録がくわしく届く
50歳以上の見込額は、今の加入条件のまま60歳まで続けた場合の金額です。働き方を変えた場合の金額は、「ねんきんネット」(日本年金機構のウェブサービス)で試算できます。厚生労働省の「公的年金シミュレーター」なら、登録なしで試算できます。ねんきん定期便の二次元コードを読み取ると使えます。
厚生労働省が示した令和8年度(2026年度)の年金額の例は、次のとおりです(月額、2026年1月23日公表)。
- 老齢基礎年金(国民年金から受け取る年金)の満額:1人70,608円
- 標準的な夫婦の年金額:237,279円
- 厚生年金の加入期間(20年以上)が中心の男性:176,793円
- 国民年金(自営業などの第1号被保険者)の期間(20年以上)が中心の男性:63,513円
- 厚生年金の加入期間(20年以上)が中心の女性:134,640円
標準的な夫婦の額は、男性の平均的な収入(賞与を含む月額換算で45.5万円)で40年間働いた場合の金額です。夫の老齢厚生年金と、夫婦2人分の老齢基礎年金の満額を合わせています。働き方の例は、令和6年度に65歳になった人の加入期間や収入をもとにした概算です。自分の金額は、必ずしもこの例と同じになりません。
老後の支出はどう見積もる?
老後の支出は、今の家計をもとに、老後に増える費用と減る費用を見直して見積もります。たとえば、住宅ローンや教育費はなくなる一方、医療費は増えることがあります。
参考になるのが、総務省の家計調査です。65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計は、次のとおりでした。数字は2025年平均の月額です(総務省統計局、2026年2月6日公表)。
- 消費支出(生活費):263,979円
- 実収入:254,395円(うち公的年金などの社会保障給付は228,614円)
- 非消費支出(税金や社会保険料):32,850円
- 毎月の不足:42,434円
65歳以上の単身無職世帯では、消費支出が148,445円、毎月の不足が29,980円でした(同)。
この世帯の持ち家率は95.5%です(同)。そのため、住居費は月17,739円と低くなっています。賃貸に住み続ける予定の人は、家賃を足して考える必要があります。家計調査は平均の数字なので、目安の一つとして使います。
「老後2,000万円」はどんな数字?
「老後2,000万円」は、金融庁の審議会の作業部会が出した報告書の数字です。金融審議会 市場ワーキング・グループが、2019年6月3日に公表しました。報告書には、次のように書かれています。
夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300万円~2,000万円になる。この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。
数字を読むときは、次の3点に注意が必要です。
- 平均の不足額に年数をかけた、単純計算の金額です。
- 報告書は、介護費用や住宅リフォーム費用などの特別な支出を含んでいないとしています。
- 担当大臣は2019年6月11日の記者会見で、この報告書を正式な報告書として受け取らないと述べました。
不足額は年によっても変わります。前の章のとおり、2025年平均の同じような世帯では、毎月の不足は42,434円でした(総務省統計局)。大切なのは、平均の金額ではなく、自分の年金と支出で計算することです。
足りないときに考えることは?
見積もりで足りないとわかったら、支出・収入・準備の期間の3つから考えます。主な方法は次の4つです。
- 支出を見直す:通信費や保険料などの固定費を見直します。手順はお金の見直し方にまとめています。
- 働く期間を延ばす:働いて収入を得る期間が長いほど、貯蓄を取り崩す期間は短くなります。
- 年金の受け取り開始を遅らせる:66歳から75歳までの間で遅らせると、1か月につき0.7%増えます。最大で84%増え、増えた額は一生続きます(日本年金機構、2026年10月時点)。
- 時間をかけて準備する:毎月の積み立てを早く始めるほど、1か月あたりの負担は小さくなります。
支出の見直し、働く期間、受け取り開始の時期、準備の期間の4つから、足りない分の埋め方を考えます。
年金の受け取りは、60歳まで早めることもできます(繰上げ受給)。1か月につき0.4%減り、最大24%減ります(昭和37年4月2日以降生まれの場合、日本年金機構)。減った額は一生続き、請求した後は取り消せません。遅らせる場合も、加給年金(配偶者などがいる場合の加算)は増えないなどの注意点があります。決める前に、年金事務所で確かめると安心です。
積み立てで投資を使う場合は、税金がかからない新NISAのしくみを新NISAとは?で説明しています。投資は値下がりして、元本割れ(投資した金額を下回ること)になることがあります。注意点は新NISAのデメリットにまとめています。
まとめ:老後資金を見積もるときに押さえたい3つのこと
- 老後資金の目安は「毎月の不足額×12か月×老後の年数+特別な支出」で見積もる
- 年金額はねんきん定期便や公的年金シミュレーターで、支出は今の家計と家計調査で確かめる
- 「老後2,000万円」は平均から出した単純計算で、自分の数字で計算し直すことが大切
出典
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」(令和8年1月23日) (2026年10月時点)
- 日本年金機構「『ねんきん定期便』をお届けしています」 (2026年10月時点)
- 日本年金機構「ねんきん定期便の見方ガイド」 (2026年10月時点)
- 厚生労働省「公的年金シミュレーター」 (2026年10月時点)
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」(2026年2月6日公表) (2026年10月時点)
- 金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(令和元年6月3日) (2026年10月時点)
- 金融庁「麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要」(令和元年6月11日) (2026年10月時点)
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」 (2026年10月時点)
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」 (2026年10月時点)
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の勧誘や推奨を目的としたものではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。