相続対策の法人化のデメリットとは?設立・維持の費用と手間を確認
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この記事でわかること
- 法人化には、設立の費用に加え、赤字でもかかる均等割や毎年の決算などの手間が続く
- 不動産を個人から会社へ移すと、譲渡所得の税金や登録免許税がかかる
- 法人化すると相続するのは株式になり、その評価は会社の資産の中身で変わる
相続対策の法人化には、設立の費用、毎年の維持費と事務、資産を移すときの税金がかかります。法人化すると、会社が赤字でも払う税金や、毎年の決算が続くためです。この記事では、法人化で生じる費用と手間、税金面の注意点、相談先を順に説明します。決める前に、メリットと費用を並べて比べる材料にしてください。
相続対策の法人化とは何をすること?
ここでいう法人化は、個人で持つ不動産などを、自分が株主の会社に移すことです。たとえば、賃貸用の建物を会社に移し、家賃は会社が受け取る形にします。
法人化すると、不動産は会社のものになり、個人は会社の株式を持ちます。
法人化したあとに相続が起きると、家族が受け継ぐのは不動産ではなく会社の株式です。上場していない会社の株式は、国税庁の決まった方法で評価します。会社の規模に応じて、次のような方法を使います(国税庁)。
- 類似業種比準方式:同じ業種の株価をもとに、配当・利益・純資産で比べる方法
- 純資産価額方式:会社の資産から負債などを引いた額で評価する方法
土地の割合が一定以上の会社や、開業後3年未満の会社は、原則として純資産価額方式で評価します。会社をつくっただけで、株式の評価が下がるとは限りません。
法人化にかかる費用と手間は?
まず、会社をつくるときに設立登記の登録免許税がかかります(国税庁)。
- 株式会社:資本金の額 × 1,000分の7(15万円に満たないときは15万円)
- 合同会社:資本金の額 × 1,000分の7(6万円に満たないときは6万円)
設立したあとは、税務署への届出が必要です。「法人設立届出書」は、設立登記の日から2か月以内に出します。設立1期目から青色申告にしたい場合は、承認の申請にも期限があります。
会社を持つと、決算や申告などの事務が毎年続きます。
毎年続く費用と手間は、次のとおりです。
- 法人住民税の均等割:会社が赤字でも払います(総務省)。
- 決算と申告:毎年、決算書を作り、法人税などを申告します。
- 社会保険:法人の事業所は、厚生年金保険と健康保険への加入が義務です。
均等割の額は、資本金等の額などで決まります。総務省の表では、標準税率の場合、資本金等1千万円以下の会社は道府県民税が2万円です。市町村民税は、従業者50人以下で5万円、50人超で12万円です。自治体によって額が違うことがあります。
社会保険の加入義務は、事業主一人だけの会社にもあります(日本年金機構)。
税金面で気をつけることは?
不動産を個人から会社に移すと、譲渡所得の税金がかかることがあります。土地や建物を売ったときの譲渡所得は、ほかの所得と分けて計算します(国税庁)。
- 譲渡所得 = 売った金額 −(取得費 + 譲渡費用)
自分の会社に安く売る場合は、特に注意が必要です。時価の2分の1を下回る額で会社に売ると、時価で売ったものとして扱われます。会社に贈与した場合も同じです。不動産を出資して株式を受け取った場合は、その株式の時価が収入金額になります。
不動産の名義を会社に移す登記にも、登録免許税がかかります。売買による移転の税率は、不動産の価額の1,000分の20です。土地は、令和11年3月31日までの登記なら1,000分の15に軽くなります。
相続税は、正味の遺産額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるとかかります(国税庁)。相続対策の全体の進め方は、相続対策の方法とは?で紹介しています。生前贈与のルールは、生前贈与とは?にまとめています。
事業承継の相談先は?
会社を持ったあとの引き継ぎは、事業承継・引継ぎ支援センターに相談できます。中小機構によると、センターは全国47都道府県にあり、相談は無料です。親族への承継の計画づくりや、後継者がいない場合の引き継ぎを支えています。
法人化するかどうかは、費用と手間を含めて判断します。次のような点は、早めに専門家に確かめましょう。
- 不動産を会社に移すときの税金
- 毎年の維持費と、家賃収入とのつり合い
- 株式を誰に、どう引き継ぐか
法人化の可否や具体的な税額は、資産や家族の状況で変わります。具体的な判断は、税理士に相談しましょう。会社の設立や不動産の名義変更の登記は、司法書士が窓口です。
まとめ:相続対策の法人化で押さえたい3つのこと
- 法人化には設立の費用に加え、赤字でもかかる均等割や毎年の決算などの手間が続く
- 不動産を会社に移すと、譲渡所得の税金や名義変更の登録免許税がかかる
- 法人化すると相続するのは株式になり、評価は会社の資産の中身で変わる
出典
- 国税庁 タックスアンサー コード7191「登録免許税の税額表」(令和8年4月1日現在法令等) (2026年10月時点)
- 国税庁 タックスアンサー コード5100「新設法人の届出書類」(令和8年4月1日現在法令等) (2026年10月時点)
- 総務省「法人住民税」 (2026年10月時点)
- 日本年金機構「適用事業所と被保険者」 (2026年10月時点)
- 国税庁 タックスアンサー コード3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」(令和8年4月1日現在法令等) (2026年10月時点)
- 国税庁 タックスアンサー コード3214「譲渡所得の収入金額」(令和8年4月1日現在法令等) (2026年10月時点)
- 国税庁 タックスアンサー コード4638「取引相場のない株式の評価」(令和8年4月1日現在法令等) (2026年10月時点)
- 国税庁 タックスアンサー コード4152「相続税の計算」(令和8年4月1日現在法令等) (2026年10月時点)
- 中小機構「事業承継対策」 (2026年10月時点)
- 中小機構「事業承継・引継ぎポータル」 (2026年10月時点)
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の勧誘や推奨を目的としたものではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。