資産の取り崩し方法は?定額と定率の違いと決め方を計算例で解説
PR 本記事には提携先のセミナー案内を含みます 運営者情報
この記事でわかること
- 資産の取り崩し方法には、主に定額、定率、定口の3つがある
- 定額は受け取る額が安定し、定率は資産が長く残りやすいが受け取る額が変わる
- 生活費の不足額と、受け取る額の増減に耐えられるかで方法を選ぶ
資産の取り崩し方法には定額、定率、定口などがあり、よく比べられるのは「定額」と「定率」です。定額は毎回同じ金額を、定率は残高の一定割合を引き出す方法です。受け取る額を安定させたいか、資産を長く残したいかで向き不向きが分かれます。
資産の取り崩し方法にはどんな種類がある?
資産の取り崩し方法には、主に定額、定率、定口の3つがあります。金融庁の審議会では、定額・定率・定口を含めて取り崩し方法を広げるべきだという意見が出ています(2018年12月)。
| 方法 | 引き出し方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 定額 | 毎回同じ金額を引き出す | 受け取る額が一定で、家計の計画を立てやすい |
| 定率 | 残高の一定割合を引き出す | 残高に合わせて受け取る額が増えたり減ったりする |
| 定口 | 毎回同じ口数を売る | 基準価額(投資信託の値段)で受け取る額が変わる |
定口は、投資信託の「口数」を基準にする方法です。値段が高いときは多く、安いときは少なく受け取ります。考え方は定率に近いので、この記事では定額と定率を中心に比べます。
取り崩しを始める前の「いつ・どの順番で決めるか」は、投資信託の出口戦略の記事で説明しています。この記事では、引き出す金額の決め方に絞ります。
定額で取り崩すとどうなる?
定額で取り崩すと、毎年の受け取り額は同じですが、残高が減ったときに資産が早く尽きやすくなります。ここでは、しくみを見るために仮の数字で計算します。実際の運用成果を示すものではありません。
- 取り崩し前の残高:1,200万円(仮の数字)
- 引き出す額:毎年60万円
- 運用による増減がない場合:1,200万円÷60万円=20年分
残高が途中で1,000万円に下がった場合を考えます。引き出す額は60万円のままです。残りは1,000万円÷60万円で、約16.7年分に縮みます。
このように、定額では値下がりの時期にも同じ額を売ります。値段が低いときに多くの口数を売ることになり、残高が戻りにくくなります。金融庁の審議会の資料では、取り崩しの時期に市場が下がる影響が「収益率配列のリスク」として紹介されています。
定率で取り崩すとどうなる?
定率で取り崩すと、資産は長く残りやすい一方、受け取る額が毎年変わります。先ほどと同じ仮の数字で、「残高の20分の1」を毎年引き出す場合を見てみます。
- 残高1,200万円のとき:1,200万円÷20=60万円
- 残高が1,000万円に下がったとき:1,000万円÷20=50万円
- 残高が1,300万円に上がったとき:1,300万円÷20=65万円
定率では、残高が下がると引き出す額も自動で減ります。そのため、値下がりの時期に売りすぎることを防ぎやすくなります。残高の一部だけを引き出すので、計算上は残高がゼロになりません。
ただし、受け取る額は相場しだいで変わります。上の例では、1年で10万円の差が出ました。年金などで毎月の生活費をまかなえていないと、家計の計画が立てにくくなります。
定額と定率はどう違う?比べるとどうなる?
定額は「受け取る額」が、定率は「資産が残る期間」が安定しやすい方法です。違いを表にまとめます。
| 比べる点 | 定額 | 定率 |
|---|---|---|
| 毎回の受け取り額 | 一定 | 残高に合わせて変わる |
| 家計の計画の立てやすさ | 立てやすい | 立てにくい |
| 値下がりしたとき | 同じ額を売るので、残高が減りやすい | 引き出す額が減るので、残高が残りやすい |
| 資産が尽きる時期 | 相場によって早まることがある | 計算上は尽きないが、受け取る額が小さくなる |
| 向いている使い方 | 毎月の生活費の不足分を補う | 旅行や趣味など、増減してもよい支出に使う |
どちらにも、よい点と弱い点があります。どちらが正解ということはなく、家計の状況に合わせて選ぶことが大切です。
自分に合う取り崩し方法はどう決める?
取り崩し方法は、生活費がいくら足りないかと、受け取る額の増減に耐えられるかで決めます。次の順番で考えると整理しやすくなります。
- 年金などの収入と、毎月の生活費を書き出す
- 毎月の不足額を出す(例:生活費25万円−年金20万円=5万円。仮の数字です)
- 不足額を減らせないなら定額、増減してもよい支出なら定率を候補にする
- 1〜2年分の生活費は、預貯金など値動きのない形で別に持っておく
老後にいくら必要かの見積もり方は、老後資金の試算の記事で説明しています。
2つの方法を組み合わせることもできます。たとえば、生活費の不足分は定額にして、ゆとりのための支出は定率にする方法です。預貯金を1〜2年分持っておくと、値下がりの時期に売る量を減らしやすくなります。
預貯金には、預金保険制度があります。普通預金や定期預金などは、1つの金融機関ごとに1人あたり元本1,000万円とその利息までが守られます(金融庁)。利息のつかない決済用預金は、全額が守られます。
NISAで取り崩すときに気をつけることは?
NISAの口座では、必要な分だけ一部を売ることができます。金融庁のNISA特設ページでも、保有している商品はいつでも売却できると説明されています(2026年10月時点)。
NISAで取り崩すときは、次の点を確かめておきましょう。
- 生涯で使える枠(1,800万円)のうち、売った商品を買ったときの金額分が、翌年以降に戻る
- 取り崩しながら、残りを運用し続けることもできる
- 自動で定額や定率で売る方法の有無は、金融機関ごとに違う
金融庁のNISA活用事例には、運用しながら少しずつ取り崩す例も載っています。NISAの売り方の手順は、NISAの出口と売り方の記事で確かめられます。
どの方法を選んでも、投資信託などの値動きのある資産は元本割れすることがあります。取り崩し中も、相場によって残高は減ることがあります。NISAの弱い点は、NISAのデメリットの記事にまとめています。
まとめ:資産の取り崩し方法で押さえたい3つのこと
- 資産の取り崩し方法には、主に定額、定率、定口の3つがある
- 定額は受け取る額が安定し、定率は資産が長く残りやすいが受け取る額が変わる
- 生活費の不足額と、受け取る額の増減に耐えられるかで方法を選ぶ
出典
- 金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ 事務局資料「高齢社会における金融サービスのあり方」(2018年12月17日) (2026年10月時点)
- 金融庁「高齢社会における金融サービスのあり方(中間的なとりまとめ)」 (2026年10月時点)
- 金融庁「NISAを知る」 (2026年10月時点)
- 金融庁「NISA活用事例」 (2026年10月時点)
- 金融庁「預金保険制度」 (2026年10月時点)
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の勧誘や推奨を目的としたものではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。