相続対策で不動産を使うデメリットは?評価が下がる仕組みと5つの注意点
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この記事でわかること
- 不動産は相続税の評価額が時価より低くなりやすく、人に貸すとさらに下がるが、それだけで有利とは限らない
- 空室や修繕、借入れの返済、兄弟で分けにくい、すぐ売れないなど、税金以外の負担が残る
- 亡くなる前3年以内に始めた貸付けは小規模宅地等の特例の対象外になることがあり、貸付用不動産の評価の見直し案も出ている
不動産を使った相続対策には、評価額を下げられる面と、税金以外の負担が増える面があります。主なデメリットは、空室や修繕の負担、借入れの返済、相続人で分けにくいこと、すぐに売れないことです。この記事では、評価が下がる仕組みと、始める前に確かめたい注意点をまとめます。
なぜ不動産は相続対策に使われる?
不動産は、相続税を計算するときの評価額が、現金より低くなりやすいからです。現金は額面のまま評価されます。土地は路線価や固定資産税評価額の倍率で、建物は固定資産税評価額で評価します(国税庁 No.4602、令和8年4月1日現在の法令)。
さらに、人に貸している土地や建物は、借りている人の権利の分だけ評価額が調整されます(国税庁 No.4602)。評価額の出し方は、不動産を相続したときの税金は?で詳しく説明しています。
ただし、評価額が下がることと、家族が受け取る財産が増えることは別の話です。買った値段より売れる値段が低ければ、相続税が減っても、手元に残る財産は減ります。
借入れをして不動産を買うと相続税は減る?
借入金そのものが相続税を減らすわけではありません。借入金は、亡くなったときに残っていれば、遺産から差し引ける債務になります(国税庁 No.4126)。一方で、借りたお金で買った不動産も遺産に入ります。
評価額が下がる理由は、借入れではなく、現金を評価額の低い不動産に替えたことにあります。そのため、借入れには次の点も考えます。
- 返済は、家賃収入から続けられるか
- 金利が変わったとき、返済額がどう変わるか
- 亡くなったあと、相続人の誰が借入れを引き継ぐか
借入れも、相続人が引き継ぎます。誰が返すかは、相続人どうしだけでなく、貸している金融機関とも相談が必要です。
賃貸経営にはどんな負担がある?
賃貸用の不動産を持つと、税金とは別に、経営の負担が続きます。次のような場面があります。
| 場面 | 起こること |
|---|---|
| 空室が出る | 家賃が入らず、返済や固定資産税を手元のお金で払う |
| 建物が古くなる | 外壁や設備の修繕に、まとまったお金がかかる |
| 周りに新しい物件ができる | 家賃を下げないと、借り手が見つかりにくくなる |
| 入居者とのトラブル | 家賃の滞納や退去の交渉に、時間と費用がかかる |
これらの負担は、相続のあとは相続人が引き継ぎます。不動産を受け継ぐ人が、賃貸経営を続けられるかを先に確かめておきます。
不動産は相続人で分けにくい?
不動産は、現金のように同じ額ずつ分けることが難しい財産です。遺産をどう分けるかは、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決めます(法務省)。
1人が不動産を受け継ぐと、ほかの相続人とのあいだで取り分に差が出やすくなります。差を埋めるお金がなければ、共有名義にするか、売って分けることになります。共有名義では、売却や建て替えに共有者全員の同意が必要です(法務省)。
兄弟での分け方は、不動産の相続を兄弟でどう分ける?で説明しています。
すぐに売れないと何が困る?
相続税は、申告期限までに納めます(国税庁 No.4205)。不動産が財産の大部分を占めると、納めるお金が足りなくなることがあります。
不動産は、売りたいときにすぐ売れるとは限りません。買い手が見つかるまで時間がかかり、希望の値段で売れないこともあります。申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁 No.4205、令和8年4月1日現在の法令)。この期限までにお金を用意できるかを、前もって考えておきます。
小規模宅地等の特例や評価のルールで気をつけることは?
亡くなる前の短い期間に始めた貸付けは、特例の対象にならないことがあります。人に貸している土地(貸付事業用宅地等)は、要件を満たせば200㎡まで評価額を50%減らせます。ただし、相続開始前3年以内に新しく貸付けを始めた土地は、原則として対象外です(国税庁 No.4124、令和8年4月1日現在の法令)。
例外もあります。相続開始の日まで3年を超えて、事業的規模の貸付けを続けていた人の土地は、この3年以内のルールに当たりません(国税庁 No.4124)。
貸付用不動産の評価そのものにも、見直しの案が出ています。国税庁は2026年9月18日に、「貸付用不動産の評価について」の通達案を公表し、意見の募集は10月18日に終わりました(e-Gov)。2026年11月時点では、まだ決まっていません。案の内容は、不動産を相続したときの税金は?で紹介しています。
不動産を買うかどうか、どの特例が使えるかは、税理士に確認してください。登記の手続きは司法書士に相談できます。
まとめ:相続対策で不動産を使うときに押さえたい3つのこと
- 不動産は評価額が低くなりやすいが、売れる値段が下がれば手元に残る財産も減る
- 空室・修繕・借入れの返済・分けにくさ・売りにくさは、相続人が引き継ぐ
- 3年以内に始めた貸付けは特例の対象外になることがあり、評価の見直し案も出ている
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.4602「土地家屋の評価」(令和8年4月1日現在法令等) (2026年11月時点)
- 国税庁 タックスアンサー No.4124「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」(令和8年4月1日現在法令等) (2026年11月時点)
- 国税庁 タックスアンサー No.4126「相続財産から控除できる債務」(令和8年4月1日現在法令等) (2026年11月時点)
- 国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」(令和8年4月1日現在法令等) (2026年11月時点)
- e-Govパブリック・コメント「『貸付用不動産の評価について』の法令解釈通達(案)に対する意見公募手続の実施について」 (2026年11月時点)
- 法務省「不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~」 (2026年11月時点)
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の勧誘や推奨を目的としたものではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。