不動産の相続を兄弟でどう分ける?4つの分割方法と共有名義の注意点
PR 本記事には提携先のセミナー案内を含みます 運営者情報
この記事でわかること
- 兄弟で不動産を分ける方法は、現物分割・代償分割・換価分割・共有の4つで、税金の扱いがそれぞれ違う
- 共有名義にすると、売却や建て替えには共有者全員の同意が必要になり、次の相続で持ち主が増えやすい
- 話し合いがまとまらないときは家庭裁判所の遺産分割調停を使え、相続から10年たつと分け方の基準が変わる
兄弟で不動産を相続するときの分け方は、大きく4つあります。そのまま分ける、1人が受け継いでほかの兄弟にお金を払う、売ってお金を分ける、共有にする、の4つです。どれを選ぶかで、税金や将来の手間が変わります。
兄弟で不動産を相続するとき、分け方は何がある?
分け方は、次の4つです。遺産をどう分けるかは、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決めます(法務省)。
| 分け方 | 内容 | 向いている場面の例 |
|---|---|---|
| 現物分割 | 土地を分筆するなど、物をそのまま分ける | 土地が広く、分けても使える |
| 代償分割 | 1人が不動産を受け継ぎ、ほかの兄弟にお金などを払う | 実家に住み続ける兄弟がいる |
| 換価分割 | 不動産を売り、代金を分ける | 誰も住む予定がない |
| 共有 | 持ち分を決めて、兄弟の共同名義にする | 当面の結論を出せない |
兄弟の法定相続分は、親の相続で子どうしなら均等です(国税庁、令和8年4月1日現在の法令)。ただし、話し合いで全員が合意すれば、法定相続分と違う割合で分けることもできます。
代償分割では税金はどうなる?
代償分割では、払った側は受け継いだ不動産の評価額から代償金を差し引き、受け取った側は代償金を相続した財産として計算します(国税庁 No.4173)。
国税庁の例では、土地(相続税評価額4,000万円、分けた時点の時価5,000万円)を兄弟の甲が受け継ぎ、乙に現金2,000万円を払います。
| 計算の方法 | 甲の課税価格 | 乙の課税価格 |
|---|---|---|
| 通常 | 2,000万円 | 2,000万円 |
| 代償金を時価5,000万円をもとに決めた場合 | 2,400万円 | 1,600万円 |
(国税庁 No.4173、令和8年4月1日現在の法令)
代償金を、自分がもともと持っていた不動産で払うと、その不動産を時価で売ったものとして所得税がかかります(国税庁 No.4173)。代償金を払う側に、払えるだけのお金があるかも先に確かめます。
売って分ける(換価分割)と税金はどうなる?
不動産を売って利益が出ると、譲渡所得として所得税がかかります。税率は、売った年の1月1日時点で持っていた期間が5年を超えるかどうかで変わります(国税庁 No.1440、令和8年4月1日現在の法令)。
- 5年を超える(長期譲渡所得):所得税15%
- 5年以下(短期譲渡所得):所得税30%
- このほか、復興特別所得税をあわせて申告・納付する
相続税を納めた人が、相続した不動産を一定の期間内に売ると、納めた相続税の一部を取得費に足せる特例があります。期間は、相続開始の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです(国税庁 No.3267)。
売る前に、誰が売り手になるか、代金をどの割合で分けるかを、遺産分割協議で決めておきます。
共有名義にするデメリットは?
共有名義にすると、大きな決定に共有者の同意が必要になります。2023年4月施行の民法改正後のルールは、次のとおりです(法務省)。
| したいこと | 必要な同意 |
|---|---|
| 売却や建て替えなど、形や効用が大きく変わる変更 | 共有者全員 |
| 形や効用が大きく変わらない変更(軽微な変更) | 持ち分の過半数 |
| 管理(使う人を決める、短い期間で貸すなど) | 持ち分の過半数 |
持ち分の過半数で決められる賃貸は、建物なら3年以内、土地なら5年以内などに限られます(法務省)。
もう1つの注意点は、時間がたつと持ち主が増えることです。共有者の兄弟が亡くなると、その持ち分はさらに配偶者や子に引き継がれます(数次相続)。法務省も、共有のままでは管理や処分を相続人どうしで決める必要があり、不便なことが多いと案内しています。
共有者の一部の居場所が分からないときは、裁判所の手続きを使って変更や管理を決めたり、その持ち分を取得したりできる仕組みもできました。ただし、相続で共有になった場合、持ち分の取得などは相続開始から10年たつまで使えません(法務省)。
兄弟で話し合いがまとまらないときは?
話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てられます。調停で合意できなければ、審判の手続きに移り、裁判官が分け方を決めます(裁判所)。
申し立ての費用は、亡くなった人1人につき収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手です(裁判所、2026年11月時点)。申立先は、相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所か、当事者が合意で決めた家庭裁判所です。
長く放っておくと、分け方の基準も変わります。相続開始から10年たつと、生前贈与(特別受益)や介護などの貢献(寄与分)を考えた分け方を、原則として求められなくなります(法務省)。2023年4月より前に始まった相続には、2028年3月31日まで猶予があります。
分け方を決めたら何をする?
分け方が決まったら、遺産分割協議書を作り、相続登記をします。相続登記は申請が義務になっています。期限や手続きは相続登記を自分でする方法で説明しています。
相続税の評価のしかたは、不動産の相続税はどう計算する?で説明しています。親が元気なうちに、財産の全体を一緒に確かめておく方法は、親の財産を確認する方法で紹介しています。
税金の計算や特例が使えるかどうかは、税理士に確認してください。登記の手続きは司法書士、兄弟の間で争いになっている場合は弁護士に相談できます。
まとめ:兄弟で不動産を相続するときに押さえたい3つのこと
- 分け方は現物分割・代償分割・換価分割・共有の4つで、税金の扱いがそれぞれ違う
- 共有名義にすると、売却などには全員の同意が必要になり、次の相続で持ち主が増えやすい
- まとまらないときは遺産分割調停を使え、相続から10年たつと分け方の基準が変わる
出典
- 法務省「不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~」 (2026年11月時点)
- 法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」 (2026年11月時点)
- 国税庁 タックスアンサー No.4173「代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算」 (2026年11月時点)
- 国税庁 タックスアンサー No.1440「土地や建物を売ったとき」 (2026年11月時点)
- 国税庁 タックスアンサー No.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」 (2026年11月時点)
- 国税庁 タックスアンサー No.4132「相続人の範囲と法定相続分」 (2026年11月時点)
- 裁判所「遺産分割調停」 (2026年11月時点)
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の勧誘や推奨を目的としたものではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。