役員報酬の決め方とは?中小企業が押さえたい時期・金額・手続き
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この記事でわかること
- 役員報酬は、定款か株主総会で決め、事業年度の開始から3か月以内に改定するのが基本
- 会社の経費(損金)にできるのは、定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与の3つ
- 途中で変えられるのは役職の変更や業績の悪化など限られた場合で、金額が高すぎる部分は損金にならない
役員報酬は、定款か株主総会で決め、事業年度の開始から3か月以内に改定し、毎月同じ額を払うのが基本です。この形にすると、会社の経費(損金)にできます。途中で額を変えられるのは、役職の変更や業績の悪化など、限られた場合だけです。
役員報酬は誰が決める?
役員報酬は、定款に決めていなければ、株主総会の決議で決めます(会社法第361条)。取締役が自分の報酬を自由に決めることはできません。
株主総会では、役員全員の報酬の上限(限度額)を決め、1人ずつの額は取締役会などで決める方法もあります。国税庁のQ&Aでも、この方法を前提にした考え方が示されています(2026年10月時点)。
損金にできる役員報酬にはどんな種類がある?
会社の経費(損金)にできる役員報酬は、次の3つです(国税庁 No.5211、令和8年4月1日現在の法令)。この3つに当たらない役員報酬は、損金になりません。
| 種類 | どんな払い方か | 主な条件 |
|---|---|---|
| 定期同額給与 | 毎月など、決まった時期に同じ額を払う | 1か月以下の決まった期間ごとに、同じ額を払う |
| 事前確定届出給与 | 決まった時期に、決まった額を払う(賞与など) | 期限までに税務署へ届出をする |
| 業績連動給与 | 会社の利益などの指標に連動して払う | 算定方法の開示など、厳しい条件がある |
業績連動給与は、同族会社では原則として使えません(同族会社でない会社に完全に支配されている場合を除く)。そのため、多くの中小企業では、定期同額給与と事前確定届出給与で考えることになります。
定期同額給与は、源泉徴収される税金や社会保険料を引いたあとの額が毎月同じであれば、同じ額とみなされる場合もあります(国税庁)。
役員報酬はいつまでに決める?
定期同額給与の額を改定するのは、事業年度の開始から3か月以内が原則です(国税庁 No.5211)。多くの会社では、決算のあとの定時株主総会で改定します。
| 事業年度の始まり | 改定の期限の目安 |
|---|---|
| 4月1日(3月決算) | 6月30日まで |
| 10月1日(9月決算) | 12月31日まで |
| 1月1日(12月決算) | 3月31日まで |
(いずれも、事業年度の開始から3か月を経過する日まで)
確定申告書の提出期限の延長を受けている会社は、期限の数え方が変わります。毎年決まった時期の改定が遅れる特別の事情がある場合も、別の扱いがあります。
賞与のように決まった時期に払う場合は、事前確定届出給与として、税務署に届出をします。届出の期限は、次のうち早いほうです。
- 株主総会などで決議した日から1か月を経過する日(職務を始める日のほうが遅ければ、その日)
- 事業年度の開始から4か月を経過する日
新しく設立した会社は、設立から2か月を経過する日までに届出をします(国税庁 No.5211)。
役員報酬の金額はどう決める?
役員報酬の額に決まった基準はありませんが、高すぎる部分は損金になりません。法人税法施行令第70条では、次の点に照らして「不相当に高額」かどうかを判断するとされています。
- 役員の職務の内容
- 会社の収益の状況
- 従業員に払っている給与の状況
- 同じ業種で、同じくらいの規模の会社の役員報酬の状況
また、定款や株主総会で決めた上限を超えて払った部分も、損金になりません。
金額を決めるときは、会社の資金繰りと、役員本人の生活に必要なお金の両方を見ます。役員報酬には所得税や住民税、社会保険料がかかるため、会社と本人の負担をあわせて考えます。会社に残ったお金の扱いは、会社の余剰資金の運用で説明しています。
事業年度の途中で役員報酬を変えられる?
途中で変えられるのは、次の2つの場合です(国税庁 No.5211)。
| 改定の理由 | 内容 | 変えられる方向 |
|---|---|---|
| 臨時改定事由 | 役員の役職が変わった、職務の内容が大きく変わったなど | 増額・減額 |
| 業績悪化改定事由 | 会社の経営状況が著しく悪化した | 減額のみ |
業績悪化改定事由には、一時的な資金繰りの都合や、業績の目標に届かなかっただけの場合は当たりません。
これらに当たらないまま額を変えると、一部が損金になりません。国税庁のQ&Aでは、次のような例が示されています(3月決算の会社)。
| 時期 | 毎月の報酬 | 扱い |
|---|---|---|
| 4月〜5月 | 40万円 | 定期同額給与 |
| 6月〜8月(5月の定時株主総会で増額) | 60万円 | 定期同額給与 |
| 9月〜翌3月(理由なく増額) | 70万円 | 60万円を超える10万円が損金にならない |
この例では、10万円×7か月=70万円が損金になりません。
役員報酬の具体的な額や改定の時期は、会社の状況によって判断が変わります。個別の判断は、税理士に相談しましょう。
まとめ:役員報酬の決め方で押さえたい3つのこと
- 役員報酬は、定款か株主総会で決め、事業年度の開始から3か月以内に改定するのが基本
- 損金にできるのは定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与で、中小企業は主に前の2つ
- 途中で変えられるのは限られた場合だけで、高すぎる部分や上限を超える部分は損金にならない
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.5211「役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」 (2026年10月時点)
- 国税庁「役員給与に関するQ&A」 (2026年10月時点)
- e-Gov法令検索「会社法」第361条 (2026年10月時点)
- e-Gov法令検索「法人税法施行令」第70条 (2026年10月時点)
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の勧誘や推奨を目的としたものではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。