資産形成の基本 柱

長期・積立・分散は、予測を当てる技術ではない

PR 本記事には提携先のセミナー案内を含みます 運営者情報

この記事でわかること

  1. 予測を当て続けることより、外れても続けやすい形を先に考える
  2. 長期・積立・分散は、時間・買う時期・値動きの違いを分ける考え方である
  3. リバランスは増やす技ではなく、偏った配分を戻す作業である

投資の話は、すぐに「どれが上がるか」へ寄ります。来月の株価、来年の金利、どの国が伸びるか。気になること自体は自然です。ただ、それを毎回当て続けるのは、仕事としても難しい領域です。外れたときに資産全体が大きく傷まない形を、先に用意する。長期・積立・分散は、そのための三つの視点です。

この記事は、特定の商品を選ぶ手順ではありません。割合の見本も置きません。割合は、使う時期と、値動きにどの程度耐えられるかで変わるからです。ここでは、三つの言葉が何を分けているかだけを整理します。

当たらないことを、前提にする

これから上がるもの、下がるもの、買うならどれか、伸びるのはどの国か。この四つは、投資を始めた人がほぼ同時に抱く問いです。そして、四つとも、事前にははっきりしません。景気の数字が出たあとで説明はできます。その説明を、出す前に言い当てるのは別の話です。

だから、出発点を「当てる」から「外れても続く」へ移します。短期の値動きに全部を預けない。買う時期を一日に集めない。値動きが似たものだけを持たない。この三つは、未来の正解を教えてはくれません。正解が分からないまま進むための、型です。

型があると、ニュースの見出しで毎回方針を作り直さずに済みます。方針を作り直すこと自体が悪いわけではありません。ただ、下落のたびに売り、上昇のたびに買う、という反応だけが続くと、判断の回数だけ増えて、中身の方針は残りません。

長期は、時間の長さの話

価格は、短い期間では大きく上下します。一年のなかで、気分が変わる材料は何度でも出ます。その振れを、短い期間の勝ち負けとして毎回精算すると、時間は味方になりません。長く持つ、というのは、我慢の標語ではなく、一時的な下落をまたぐ長さを先に確保する、という設計です。

過去を振り返ると、保有する期間が長いほど、途中の下落が結果の全部にはなりにくい、という傾向が語られてきました。これは、長く持てば減らない、という意味ではありません。長く持った人の結果が、いつもプラスだった、という保証でもありません。ある市場では、かなり長い期間を取っても、始める時点によって結果が違います。

見るポイントは、平均の数字より先に、自分がそのお金を使う時期です。三年後に使うお金と、二十年後に使うかもしれないお金を、同じ値動きの中に置く必要はありません。近いお金ほど、価格の振れが生活に直結します。遠いお金ほど、途中の振れをまたぐ余地があります。長期は、すべてのお金を同じ箱に入れることではない、ということです。

時間には、もう一つ役割があります。成果が成果を生む、複利と呼ばれる動きです。これも、毎年同じ率で増える約束ではありません。途中で取り崩す、コストが重い、価格が大きく下がったところで売らざるを得ない、といったことがあると、絵に描いた複利はそのまま届きません。長く持つ意味は、その動きが働く時間を残すことにあります。

積立は、買う時期を分ける

一括で買うと、その日の値段が、その後の結果に大きく残ります。買った翌月に下がれば、評価はすぐに減ります。下がる前に買えていれば、同じその後の値動きでも印象は違います。問題は、その「前」を、買う時点で知ることが難しいことです。

積立は、一度に全額を値段に晒さないやり方です。毎月でも、毎期でも、金額を分けて買います。価格が下がった月は、同じ金額で買える数量が増えます。価格が上がった月は、同じ金額で買える数量は減ります。うまい日を当てたのではなく、時期を分けた結果です。

積立が分けているもの
下がった月同じ金額で、買える数量は増えやすい
上がった月同じ金額で、買える数量は減りやすい
時期を分ける一日の値段だけで、全額を買わない

この仕組みは、毎回評価額を増やす装置ではありません。価格が下がり続ける局面では、数量は増えても、評価額は増えないことがあります。価格が上がり続ける局面では、最初に一括で買ったほうが数量は多くなる、ということも起きます。積立の役割は、最良のタイミングを取ることではなく、タイミングを外しても、一度の値段に全額を預けないことです。

価格が下がって戻る仮定では、積立のほうが評価が高くなることがあります。仮定や手数料・税金で結果は変わり、これからの成績の見本ではありません。

積立が向くのは、「今月が安いか」を毎回判断したくない人です。自動で買える仕組みは、その判断を減らします。ただし、自動であることは、中身を見なくてよいという意味ではありません。何を、いつまで、どのくらいの金額で買うのかは、始める前に言葉にしておきます。

分散は、値動きの違いを組み合わせる

分散は、たくさん買えばよい、という話ではありません。同じように動くものを十個持っても、一つが下がるときは十個が下がりやすいです。分けたいのは、名前の数ではなく、値動きの違いです。

株式は、成長の期待を反映しやすく、そのぶん振れも大きくなりやすい資産の種類です。債券は、発行体にお金を貸す形で、株式とは違う材料で動くことがあります。現金は、価格の振れは小さい一方、物価が上がる局面では、買えるものが減っていくことがあります。金のように、株式とは別の材料で語られる資産もあります。

ここで名前を出したのは、分類の例です。買う順番の提案ではありません。どの組み合わせがよいかは、この記事では決めません。決める材料は、使う時期と、下落が続いたときに生活や事業が耐えられるか、です。

一つの種類だけに寄せると、その種類が大きく下がったときに、全体が同じだけ下がります。値動きの違うものを併せると、全体の振れは、一番振れるものの振れより小さくなることがあります。小さくなることは、減らないこととは違います。世界的に心配が強い局面では、普段は違う動きをしていたものまで、同じ方向に動くことがあります。分散は、その可能性を消すスイッチではありません。

リバランスは、元の形に戻す作業

長く持っていると、増えた種類の割合が膨らみ、減った種類の割合が縮みます。最初に「このくらいの振れなら続けられる」と考えた形から、気づくと離れていることがあります。リバランスは、その形に戻す作業です。増えたほうを一部売り、減ったほうを買い戻す、という向きになることが多いです。

目的は、その年の一番の増え方を取ることではありません。偏りを放置しないことです。下がったものを機械的に「安いから買う」と断定するのでもありません。戻すことで、自分が許容すると決めた振れの範囲に、全体を戻します。

リバランスで見ること
崩れたあと増えた種類の割合が大きくなり、全体の振れ方も変わる
戻すとき最初に決めた「続けられる振れ」に、割合を近付ける

参考にするのは、誰かの現金の割合そのものではありません。状況を見て、一度決めた形を放置しない、という姿勢です。他人の割合を自分の家計に写しても、使う時期も収入も違います。

リバランスには、売ったときの税金や、売買のコストがかかることがあります。頻繁に触るほどよい、というものでもありません。年に一度見る、割合が一定以上ずれたら見る、といったルールを先に決めておくと、下落の最中にルールを発明せずに済みます。

商品の前に、使う時期を置く

長期・積立・分散・リバランスは、並べると立派な言葉になります。実際に効くかどうかは、使う時期が先に決まっているかにかかっています。教育費、住まい、仕事を離れたあとの生活費。時期が違えば、同じ商品でも役割が違います。

価格の仕組みをさらに見るなら、株式と金利の関係へ進んでください。投資信託の中身の違い、指数に沿うものと、独自の判断で運用するものの違いは、インデックスとアクティブに分けて書いています。積み立てたあと、どう使い始めるかは、出口戦略の側の問いです。

未来は、これからも正確には分かりません。分からないことを認めたうえで、時間と時期と値動きの違いを分ける。それが、この三つの言葉の使い方です。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の勧誘や推奨を目的としたものではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。